住宅査定書とは、住宅価額(建物価額と土地価額の合計)を一定の根拠を記載して提示している書類です。
建物価額は「建物状況調査報告書」の結果を受けて、これを反映した価額を提示します。例えば外壁がリフォームされていれば、この価値を加味した価額となります。反対に、外壁にたくさんのクラックや剥がれを確認した場合は、この修繕費相当分を控除した価額となります。
土地価額は相続税路線価や公示地価等の公的指標をもとに、周辺で発生している取引事例を参考としながら査定します。
建物価額と土地価額を合計したものが原則的には住宅価額となります。
但し、場合によってはこの住宅の市場性を考慮して、市場性修正を施します。例えば、とても人気のある住宅団地にある住宅は人気があるため、需要が殺到して価額が上がる傾向にあり、プラス(増額修正)の市場性修正となる場合がある。反対に人気のあまりない空地ばかりが目立つ住宅団地にある住宅は、マイナス(減額修正)の市場性修正となります。
建物価額だけを考えれば、同額で同時期に建てた全く同じ建物があって、同じような劣化状況であれば価額も同程度のはずです。しかし、建物が人気のある住宅団地に建っている場合と人気のない住宅団地に建っている場合とでは建物自体の価額も異なってきます。これが土地と建物が一体となった場合の不動産価額(複合不動産といいます)の大きな特性の一つです。
なお、この土地価額を含んだ「住宅査定書」は、不動産鑑定士である有資格者の独占業務となります。(不動産仲介業者が提出する「無料住宅査定書」とは異なります。資格者押印をご確認ください。)
最後に、住宅に限らず売買は基本的には自由です。不動産鑑定士により理論づけて試算されている「住宅査定書」による住宅価額も、多くの事案と経験をもとに仲介業者が提示している住宅価額も、どちらも参考価額です。実際の売買価額は、あくまで売主と買主が決めるものです。じっくり吟味して、納得のいく売買をしましょう。