建物の省エネルギー性能(その2)

建物状況調査(インスペクション)は「建物の構造耐力上の調査」、「雨漏り等劣化状況調査」を主な調査項目としています。建物状況把握にあたっては、前者2項目に「省エネルギー性能調査」の3つめの項目を付加して、今後は依頼者に説明していく必要があると思います。

建物価額を査定する場合においては、前者2つの項目調査はマイナス要因であるのに対して、「省エネルギー性能」についてはBELSやeマークが付与されている住宅はプラス要因になると考えられます。これらの認定を取得するにはコストがかかっているため、これを価額に反映させる必要があります。

例えば、CASBEE認定建築物においては、大規模商業ビルや物流施設が主体でありCASBEE評価の度合いを収益性に反映させて付加価値を数値化しています。

戸建住宅の場合、新築時においては売主であるハウスメーカーさんが省エネルギー性能に優れた住宅(電気代が殆どかからない等々)であることを買主に説明し、高額での取引が成立しています。但し、中古住宅市場においては、その付加価値があまり認識されず、それ以外の建物との区別化がなされていないのが現状です。その原因としては、日本は地震大国であることから、耐震等級については早くからユーザーに対する情報が浸透していたのに対し、省エネルギー住宅に対しては情報がまだまだ不足していることや、その付加価値を共有する土壌が日本には育っていないことがあるでしょう。

分野は全く異なりますが、私が子供のころは水は水道水を飲むのが当たり前でした。今では誰も水道水は飲まず、コンビニでミネラルウォーターを買います。健康上の理由等々、何十年という歳月の中でその理由は様々あるとは思いますが、現代のミネラルウォーターに誰もが認める付加価値が生まれたことは間違いありません。また、自動車も今はガソリン車、HV車が当たり前ですが、あと数十年後には電気自動車が当たり前になり、未来の子供たちは「昔は車ってガソリンで動いてたんだって、やばくない?」などと言うようになるでしょう。価値観は時代とともに変わっていきます。

世界的にCO2排出量削減が叫ばれている中で、省エネルギー住宅に対して誰もが付加価値を認め、エネルギー消費性能の高い住宅に住むことが当たり前であるという価値観の世の中にしていく努力を、私たち建築・不動産にかかわる専門家はしていかなければならないと考えています。環境対応の適正さを正しく評価するしくみをきちんと設計していけば、投資や消費行動を正しく動かせると思います。

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