パッシブソーラーハウス

郊外の農家住宅に建物調査に行く機会がありました。郊外の田舎に建つ古い住宅は、縁側廊下に囲まれた田の字型造りの和室があり、土間台所が隣接しているという昔ながらの日本家屋が多く見られます。この造りは太陽光を効果的に取入れ、冬は暖かく、夏は涼しく過ごせる知恵がつまっています。

動力に頼らず、自然光を効果的に取入れ、居住環境を快適に保つ考え方をパッシブソーラーハウスと言います。

冬は軒下から太陽光が縁側を介して和室まで差し込み、和室と土間に蓄熱します。(床には熱容量の高い部材が使用されます。)夏には軒が太陽光を遮り、和室には直接差し込みません。縁側廊下がダブルスキンの役目をして和室には高温の空気が直接入ってきません。軒の出や角度は季節ごとの太陽光を機械的に操り、縁側廊下が和室と屋外を効果的にゾーニングしています。

このように日射を効果的に居住域に取り入れる考え方をダイレクトゲインと言いますが、敷地が広く、周辺に高層の建物がない郊外においては、パッシブソーラーハウスは省エネルギー住宅として十分機能します。

都心の戸建住宅は敷地が狭く、周辺には高いビルもあり、パッシブソーラーの効果は十分には期待できません。但し、近年では脱炭素の流れの中で住宅の断熱性能も高まり、新発想のパッシブソーラー計画も提案されています。また、アクティブソーラー(太陽光パネルや蓄熱装置等動力を用いる設備)との併用で、エネルギー効率の良い住宅を造ることは可能でしょう。

アクティブソーラー設備が設置された住宅への付加価値を考慮することは当然ですが、パッシブソーラー効果が期待される住宅についても、同様に付加価値を考慮していく必要があります。

近々竣工予定の広島銀行本店(紙屋町)ビルはパッシブ&アクティブソーラー効果を随所に組み込んだ超ハイスペックな環境配慮型&省エネルギー建築です。また、戸建住宅においては、今後は大手ハウスメーカー等は開発業者と協力して新規開発する住宅団地の向きや傾斜角度の初期計画段階から、パッシブソーラーハウスの計画を進言していくと、住宅団地全体についての大きな省エネルギー効果が期待できると思います。

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