人口減少が続く日本において、空き家の数が膨れ上がることが予測され、重大な問題へと発展しています。空き家になる前に中古住宅として流通させ、世帯年収500万円以下(我が国ではボリュームゾーンと言われています)のユーザーに多くの戸建住宅を提供できるいいサイクルを作っていく必要があります。
我が国では未だに新築志向が強く、その理由としては日本人の安全志向、清潔志向、健康志向、意匠志向等の強さがあげられます。新築住宅でこれらをゼロから思案して実現したいと考えるのです。しかし、一定基準以上の耐震性、室内環境を適切に維持する気密性や設備等、清潔感を伴ったリノベーションをバランスよく行うことによって、中古住宅でも手頃な価格でこれらを実現することは可能です。
さらに、適切なリノベーションを行った中古住宅は、居住性だけではなく資産性も付加されることになります。従来の我が国の建物査定は、築古物件については価値はないとされてきましたが、今後は適切なリノベーション、メンテナンスがなされている中古住宅は十分な価値が認められ、欧米のように築50年以上でも普通に売買されるようになるでしょう。
ボリュームゾーンに手が届く中古住宅市場にするには、資産性と品質(耐震性、気密性、省エネ性等々)とのバランスを見極め、中古住宅価格を適切に査定することが大切になります。
今購入しようとしている中古物件が、どの程度のリノベーションが施されていて、どの程度の品質なのか、売買価格との関連を適切に開示していくことが中古住宅市場の活性化につながると思います。